小正月行事「どんど焼き」の全国・国際調査集計(令和7年版)を公開しました
特定非営利活動法人地域資料デジタル化研究会は、恒例の小正月行事「どんど焼き」の全国・国際調査集計令和7年版を公開いたしましたので、ご利用ください。
小正月どんど焼き行事は世界の民俗文化遺産令和7年版
本調査は、日本国内および世界の新聞社・放送局など報道機関や公共機関のWEB版に掲載された記事などを主な情報源とするキュレーション(Curation)というIT手法によって、日本の小正月行事を中心とする「どんど焼き」など火祭りとその関連行事の実施状況を、国内外で調査し、毎年その成果を本サイトで無償公開しています。
調査は全国47都道府県の集落を単位としたコミュニティでの祭事の実施状況を表形式で収録しております。また、アジアから欧州までユーラシア大陸の各地で行われている日本の小正月行事と同じ趣旨、形式の火祭り行事も収録しております。公開しているデータ数はおよそ900件となります。
これらの膨大なデータは日本国内47都道府県の集落を単位とした正月・小正月行事が、5W1Hを原則とするデジタル・アーカイブとして情報整理されております。このため、小学校の「総合的な学習の時間」さらには郷土学習の児童に身近な教材として使いたいという要望が寄せられております。もちろん、OKです。
小正月行事「どんど焼き」の全国・国際調査集計の最大の学習メリットは、自分たちの町や村の伝統行事を全国、全世界の集落を単位とした類似行事のデータと直接比較しながら、探究的な見方・考え方を働かせ、全国そして世界規模の横断的・総合的な学習ができる点にあります。特に世界の正月、新年、新春の行事は暮らしの平安と豊かさの永続を求める共通の祈りで結ばれ、国連SDGsの根本理念を先取りしております。子どもたちにとって、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための教材として、これ以上のものはございません。デジ研アーカイブ班は教材となるよう社会貢献のためにこのアーカイブを維持更新しておりますので、活用していただければ幸いです。
2025年の新規情報の収録では、福岡県宮若市で宮若市で行われる日本一の大門松・どんど焼きについて紹介しています。大門松とは、正月に飾られる高さ20メートル以上の巨大な門松のことで、宮若市では毎年1月15日にどんど焼きとして燃やされます。
宮若市のどんど焼きは、全国でも最大級で、火柱は50メートル以上にも達し、迫力満点。約10万人の見物客が訪れるということです。
北海道渡島・檜山地方では、昔ながらの正月伝統食「つぼっこ」が正月・小正月の定番中の定番の郷土料理ということです。年越しに、大きい鍋でたくさん作り、正月には何回も温め直して、家族みんなで食べられています。「つぼっこ」の具材は、こんにゃく、椎茸、人参、なると、豆、豆腐、さつまいも、白玉団子などを材料に、昆布や煮干しでダシをとり、醤油味で煮た、具沢山で栄養は満点のようです。
一方、新潟県では伝統の小正月行事を観光資源として活用する「越後妻有の小正月ツアー(2泊3日)」が話題となっています。十日町市松之山地区で、廃校となった旧三省小学校を改装した三省ハウスに滞在しながら、五穀豊穣を祝う小正月行事「鳥追い」と「どんど焼き」に参加し、郷土料理の雪見御膳などを満喫しました。このツアーでは観光客が地域の方と交流しながら雪国の暮らしを体験できるのが人気を呼んでいるようです。
沖縄では家庭の年越し行事として「ヒヌカン(火の神)の昇天とウグァンブトゥチ(御願解き)」が大切に行われています。これは小正月行事の火祭りと同じ祈りが捧げられており、注目すべき情報として収録いたしました。
ヒヌカン(火の神)は沖縄の多くの家庭で台所に祀られている一家の守り神です。一年間ずっと、屋敷の神々や天の神々との連絡係として、中心になって屋敷を守っているとされています。
ウガンブトゥチ(御願解き)は、毎年旧暦12月24日(2025年は新暦1月23日)に行われ、この日ヒヌカンは天へ里帰りをするので、「ヒヌカンの昇天」と言われるということです。このため、歳末にはお見送り行事で「正月にかけた願いをいったん解除」し、ヒヌカンが旧暦正月4日に再び来訪すると、その日にお迎え行事で新年のお願いをかけるということです。
この行事に使うウチャヌク(三段重ねの丸餅)セットは各地の商店で売り出され、歳末の風物詩ともなっているということです。
調査報告では、ウグァンブトゥチのお供え物と拝み言葉(例文)も掲載しております。
海外の情報では、ベトナムのHộixuân(春祭り)を再録しました。ベトナムでは、旧暦正月Tet Nguyen Dan(Tet、テトと略称)を一年で最も重要な休日として祝います。テトは中国の旧正月「春節」の習俗にならい、新春新年の初日と考えられており、Hộixuân(春祭り)とも呼ばれて、春の到来を祝い、この一年の幸福を願う日となっています。
なかでもベトナム南部タイニン省のバーデン山春祭りは、一年の平和や健康を願う何万人もの巡礼の人々が集います。祭りの期間中、多数の巡礼者が、ホテルやゲストハウスに宿泊する代わりに、国立バーデン観光客ゾーンに敷布と毛布を広げ、この土地の神聖なエネルギーに抱かれて眠ります。翌朝には頂上のバ・パゴダを目指し、登山を始めます。
頂上では、アジア随一の高さを誇るタイ・ボ・ダ・ソンの仏像や、世界最大の弥勒菩薩像にこの一年の幸運と加護を求めて礼拝するということです。テト休暇(旧正月)中にバーデン山のふもとで一夜を過ごすことは長年の伝統となっており、その精神的な旅の側面から、他にはない特別な正月祭となっているようです。
北マケドニアでユリウス暦の新年に開催されるベブチャニ・カーニバル(Vevchani carnival)は、日本のナマハゲと同様の“オニ”の仮面を付けてシャギー(ふさふさ)な衣装で仮装する行事です。村人は年齢制限がなく、誰でも恐ろしげな悪魔や思い思いのキャラクターの仮面をつけて参加できるのが特色です。人々の変身願望を満たして村の通りを練り歩く伝統行事で、最後にマスクを焚き上げて打ち上げとなります。
その他、既存の行事データも随時、補足情報を更新しています。
…続きは「2025年版日本・世界調査報告」のページを御覧ください。(2025年2月19日更新)
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